テストまであと2日ですが、コーヒーブレイクをしているあなたのために、今日も考えさせられる話をしましょう。まじめな内容ですが、私たちが『人間』である限り、決して逃げてはいけない問題であるともいえます。
今日、昇降口に、人権週間のポスターを掲示しました。
このポスターは愛知県が作成したものです。
涙を浮かべた制服の少女は、何を語っているのでしょう。
真ん中には、メモ書きでこう書いてあります。
気づかないフリをされた。
傷つかないフリして笑った。
愛知県では、先日もお伝えした法務省が重点目標として掲げたテーマ以外にも独自に、この言葉を本年度の啓発広報の統一テーマとしているそうです。
県のホームページには、こう書いてあります。
「愛知県では、これまで被害者の心の痛みに気づいてもらえるために強いメッセージを発信してまいりましたが、本年度は、被害者・加害者の関係だけではなく、相手に対して無関心であることも、人を傷つけることであるというメッセージを発信してまいります。」
「『自分には関係ない』という態度や行動も、直接的に相手を傷つけることと同じように、静かに被害者のこころを傷つけています。あなたの無関心に誰かが苦しんでいるかもしれない。その被害者の心の痛みを受けて、一人ひとりが自分のこととして振り返ることを通じて、人権について誰もが身近なこととして考えられるきっかけを提供していきます。」
この時期だからこそ考えたい問題、それが「人権」です。周囲で起きていることを、「他人のことだから」「自分のことじゃないから」「言うと、逆に自分が攻撃されるから」と、避けたり逃げたりしてはいないでしょうか。愛知県では、そのことをも、「いけないことである」としっかりとメッセージで言っています。
学校ではいじめの問題などが人権に関する第1番目の問題として浮かんできます。先生だけでなく、保護者の方だけでなく、地域の方だけでなく、当事者である生徒である皆さんが、「いじめはいけない」という意識を持ち、自分自身の「正義」をしっかりともって問題に臨む姿勢、そして、「告げ口をする」という発想ではなく、「告発をする」という公正・公平な姿勢こそ、今の時代は求められている…、それに気付いてほしいと思います。
愛知県のポスターは、学校に配られているもの以外にもメッセージ性の強いものが多く、これから町の中で見かけることもあると思います。それぞれテーマをもっていますが、当事者の様子とメッセージに、受け手の私たちが「傍観者であってはいけない」とものすごく考えさせられるものになっています。
一度、それぞれの点についても考える機会としたいですね。
「インターネットと人権」
携帯やパソコンでのインターネット・メールでの人権侵害は、後を絶ちません。責められるべきは、こうした行為に走る人ですが、それによって困っている人を救うのは、教室にいるあなたかもしれません。
「外国人と人権」
同じクラスメイト、同じ近所同士、同じ職場同士、そして同じ仲間同士、声を掛け合うことの大切さは、万国共通だと思います。
「高齢者の人権」
社会をささえてきたお年寄りが、社会の中で孤独になっていく姿は、私たちのあいさつや笑顔、声かけで防げるのではないでしょうか。
「子どもの人権」
児童虐待という問題も当然ありますが、その中には「ネグレクト(育児放棄)」という問題もあります。また、そうでなくても子どもたちは家の人からの何気ない一言に温かさを感じるものです。家族として、声をかけることの大切さを感じるべきではないでしょうか。
「障がい者の人権」
障がい者を差別し、自分をいつも基準にして人を評価するような姿勢は責められるべきですが、皆さんが障がいをもっている人の人権を真剣に考えるならば、そんな方と普通に声を掛け合い、笑いあうことから始められるのではないでしょうか。
「女性の人権」
女性に対する自分の固定的な意識や役割分担をするという意識を消し去ろうとせず、それが意識しない社会になってしまえば、いつまでも生活の中で男女平等の人権社会は実現しません。
どのポスターも、当事者の立場のつぶやきが聞こえてくるようなポスターです。
ところで、人権の問題ってどれくらいあるの?と思う人がいるかもしれません。先日もお伝えしたように、第62回人権週間が、12月4日(土)~12月10日(金)の期間、全国で展開されます。啓発活動重点目標は、
みんなで築こう 人権の世紀
~考えよう 相手の気持ち 育てよう 思いやりの心~
ですが、それぞれ人権に関する強調事項として、次のことを掲げています。
1 「女性の人権を守ろう」
2 「子どもの人権を守ろう」
3 「高齢者を大切にする心を育てよう」
4 「障害のある人の完全参加と平等を実現しよう」
5 「部落差別をなくそう」
6 「アイヌの人々に対する理解を深めよう」
7 「外国人の人権を尊重しよう」
8 「HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう」
9 「刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう」
10 「犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう」
11 「インターネットを悪用した人権侵害は止めよう」
12 「ホームレスに対する偏見をなくそう」
13 「性的指向を理由とする差別をなくそう」
14 「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」
15 「北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう」
16 「人身取引をなくそう」
強調項目としてあげただけでも、これだけ。いかに人権の問題が日常気付かないところで多くあるのかがここからわかると思います。
今こそ考えてみませんか?人権のことを。
これをいい機会に…。